製造業で使われるシステムの最新動向を解説

みなさん、こんにちは。製造業DX担当のシステムエンジニアAです。今回は、製造業で使われるシステムの最新動向について、エンジニア目線で解説したいと思います。

製造業においては、輸出製品も含めた、国内外での競争の激化や原材料費だったり、エネルギーコストだったりの、はちゃめちゃな上昇やユーザーからのなかなか難しい超難題の要求などなど、いろんな要因により、コスト削減と生産性の向上に迫られています。

このような理由から、製造事業者は大企業だけでなく中小企業でも、コスト削減と生産性の向上のために工場内のDX化やシステム化といったIT技術の活用を検討されているケースが多いですね。

ということで、今回は中小製造業者向けに製造業におけるシステムの最新動向について解説したいと思います。

製造業におけるシステムの最新動向

現在の製造現場でのシステム化の動向としては次のような事例が挙げられます。

事例:3Dスキャナによる模型や型の廃棄

例えば、歯医者や歯科技工所では、過去に扱った大量の歯型や模型を保管していることが多いですね。そのような歯型や模型の保管するためにスペースの確保が必要となります。その分、診療スペースや製造スペースが削られてしまい、生産性が低下してしまっていることも多いようです。

このような場合に、3Dスキャナーによって、既存の歯型や模型をスキャナーに取り込むことで、3D CADにより図面化することで、歯形や模型の多くを廃棄することができます。その結果、保管スペースを診療や生産のためのスペースに転用することが可能となります。

事例:農業ハウス

最近工場では、スマートファクトリーとか言われている、IoT・自動化・人工知能(AI)を活用した、先端技術を導入した工場も、けっこう増えてきています。これによって、生産性の向上やコスト削減が図られるようです。

このスマートファクトリーの農業版として、例えば、最先端の農業用ハウスでは、AIが自動で温度・湿度を管理してくれたり、なんと、水やりまでも行ってくれたりします。これで生産者の労力はずいぶん削減され、その分、農家の方々が、独自の営業や販促活動、インスタなどのSNSマーケティングなど、儲けるための仕掛けに時間を作ことが可能となります。

事例:サプライチェーン管理の最適化

AIやIoTの技術を活用することで、製品やサービスが原材料の段階から最終消費者に届くまでの流れを、効率的かつ効果的に管理することが可能です。これにより、コストの削減、効率の向上、顧客満足度の向上、リスクの軽減などが見込まれます。また、当社のお客さんでは、製品にICタグを挿入して、工場内で製品がいま、どこで、どのような状況なのか、リアルタイムに把握するシステムを導入した例もあります。

事例:アマゾンの自動化倉庫

アマゾンは倉庫内でのロボットを使用して、商品のピッキングや梱包を自動化しています。これにより、作業効率が向上し、出荷時間が短縮されています。アマゾンはKiva Systems(現在はAmazon Robotics)というロボットを使用しているらしく、このロボットが自動で倉庫内を移動し、商品を運搬するんだとか。。。

また、アマゾンではユーザーから注文を受けてから、配送までの全工程をシステムによって管理しています。これにより、在庫管理、注文追跡、最適なルート計画などが自動で行われるんですって!さすが、アマゾンはやることが桁違いですね!

事例:持続可能な製造への移行(SDGs的な取り組み)

環境に配慮した、持続可能な材料の使用やエネルギー効率の高い製造プロセスへの移行も、ここ最近の流行りですね!省エネのためのシステム導入、廃棄物の削減とリサイクル、持続可能な原材料の利用などが挙げられます。

また、太陽光発電や蓄電池の活用により、省電力化を図ることで、環境への配慮だけでなく、工場のコスト削減も図る狙いもあります。

それと、このような取り組みを行った場合、きっちりと、WEBサイトで「当社の取り組み」のような感じで、社外にPRすることも重要ですね!実際、当社のお客さんでは、地方のマスコミや情報番組だったら取り上げてもらえた例もあります!

事例:メーターのモニタリング

電力メーターをセンサーでモニタリングすることで、工場内の消費電力を監視し、使いすぎの場合や不要な設備の稼働に対して、積層灯によるアラートやメールによる連絡を行うことも可能です。当社の導入実績でも、このやり方だと、センサーを後付けで取り付けることができるので、電力監視システムをまるっと導入するより、ずいぶん、安く仕上げることも可能です。

中小製造業者におすすめのシステム導入について

以上のように、製造業では多くの先端技術の導入が進んでいます。とはいえ、すぐに中小製造業者が、先端技術の導入をするにはハードルが高いでしょう。

ここでは、生産効率の向上、品質管理、コスト削減、顧客満足度の向上など、多くの目的に対応するため、製造業でよく使用されるシステムの導入例をご紹介します。

生産管理システム(Manufacturing Execution System, MES)

生産管理システムは、製造業における生産工程を効率的に管理し、最適化するためのコンピュータベースのシステムです。多くの生産管理システムでは、まず、工程の各段階(計算、設計、資材投入、加工、検査等)で資材がどのような状況なのかについてのリアルタイムデータを管理してくれます。当社のお客様への導入事例でも、これにより機械の稼働状況、生産速度、製品品質などをモニタリングすることが可能になっています!

また、収集したデータを基に、システムでは最適な生産スケジュールの計算、機械の予防保守計画、品質管理なども行える点が、いいですね!

また、高機能なシステムでは、ある製品の需要が予想よりも高い場合、システム上でスケジュールを自動的に更新して、生産量を増やすこともできたりします。

当社の導入実績では、機械の性能が落ちていることを検知した場合、システムはメンテナンスの必要性を警告し、計画的なメンテナンスを促す、なんてことも実際に導入しました。

品質管理システム(Quality Management System, QMS)

品質管理システム(QMS)は、製造業において製品の品質を維持し、向上させるために設計されたシステムです。このシステムは、製品が設計された品質基準を満たしていることを確保するために、生産プロセスの各段階で品質チェックを行います。

具体的にはまず、システムによって、製品の設計段階で製品の品質要件を入力します。ここでは顧客の要望や業界基準、法規制などを考慮し入力します。

品質要件が出来上がると、システムは生産工程全体にわたってこれらの要件を適用します。

その後、生産が始まると、システムは生産ライン上のさまざまなチェックポイントで製品の検査を行い、各製品が設定された品質基準を満たしているかどうかを確認します。

チェック項目については例えば、寸法の精度、材料の質、機能性などの品質指標となります。そして、品質基準を満たさない場合、修正、再加工、または廃棄されます。

IoT(Internet of Things)システム

IoT化は特に当社も得意とする分野です。IoTを活用することで、工場・事務所・顧客などがデータで繋がり、生産性を向上させることができます。

工場のIoT事例としては、様々な機器やセンサーをネットワークに後付けで接続し、工場内や機械設備を監視し、製造工程の効率化、品質向上、コスト削減を図ります。例えば、センサーによって、機械の温度、圧力、稼働時間などの情報を監視し、これらのデータを中央管理システム(とはいっても、普通のPCですが。。。)に送信します。データを確認することで、生産に遅れはないか、機械に不具合はないか、人員に無駄はないか、品質は十分か、などなど、現場での人の目でなく、モニターから数値で確認が可能となります。外回りで忙しい社長様にとって、とてもよいシステムですよね!

また、事務所内のIoT事例としては、会議室を予約しておくと、会議開始の5分前にエアコンが自動で稼働するなどがあります。

とはいえ、残念ながら、工場のIoT化については、パッケージソフト(既製品)の対応は遅れており、多くの工場内のIoT化では専用設計と個別のシステム導入が必要となります。

このような個別案件は当社も得意としているんですが、やっぱり、導入にあたっては、対応可能な業者とのパートナーシップの構築が不可欠ですね!

以上が製造業におけるシステム化の潮流でした!

ぜひ、あなたの会社でも工場内の生産性向上の糸口として、ここで述べたシステムの導入を検討されてみてはいかがでしょうか

また、当社でも無料のIT相談もお受けし、開発のご依頼も全国にてお受けしております。お気軽に、ご相談ください。

この記事を書いた人

㈱スクラムソフトウェアの製造業DX担当。エンジニアとしてから製造業のシステム開発をメインに幅広く業務に従事。C言語、C++言語を使った組み込み開発やPHPやJavascriptを使ったWEB周りの開発が得意。社内の事例を他のエンジニアからヒアリングし、社外向けにシステム開発と製造業DXや工場管理についての情報発信を実施中

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