製造業工程管理その1:工程管理、はじめの一歩

みなさんこんにちは、中小製造業DX担当のAです。今回は製造業における工程管理の導入方法について、初歩の初歩をお伝えできればと思います。∂

目次

製造業ではなぜ、工程管理が必要?

中小製造業ではユーザーや元請け企業から、品質の向上だったり、短納期だったり、低コストだったり。。。と、ものづくりへの要求が年々、どんどん大きくなってきていますよね。そのような状況で、製造現場では工程管理は必須の管理工程といえます。

例えば、「工程管理を全くしない現場」では、どのようなことが起こるでしょうか。見ていきましょう。

製品の品質がバラバラ!

工程管理が不十分な場合、製品の品質がバラバラになってしまって、欠陥だったり、不具合だったいと、ミスが増加して、どんどん膨れ上がってしまう可能性があります。これは顧客の不満を引き起こし、企業の評判を損なう原因となります。

効率の悪い生産!

生産工程が最適化されていない場合、時間と会社の資源に無駄がうまれてしまって、生産性がどんどん低下してしまします。これにより、生産コストが不必要に高くなってしまう可能性もありますね。無駄な作業や多すぎる在庫、生産のおくれは、コストの増加につながります。これにより、結局は利益率が低下してしまいます。

納期が守れない!

工程管理が不適切な場合、生産スケジュールが乱れてしまい、製品の納期おくれがどんどん発生してしまう可能性だってあります。これは顧客の信頼を損ない、長期的なビジネス関係に影響を与えかねません。

顧客からの対応ができない!

生産管理しないと、いま、どれくらい作って、どれくらい余力があるのかも、きちんと把握できないので、市場の変化や顧客の要求にスパッと対応することがむずかしかったりします。これでは新しいビジネスチャンスの損失や市場シェアの減少にもつながりかねませんね。。。

おおむね、僕のお付き合いのある企業でも、上記のような理由から、製造の生産ライン上の効率化、品質向上、コスト削減、短納期化を実現させるために、工程管理を導入するようです。

ここでは、工程管理について、主に①計画、②調整、③実行、④監視、⑤改善の5つの主要な段階で解説します。

工程管理の5つの段階

計画段階:事前に計画する

計画段階では、製品の設計と生産に必要な資源の割り出しを行います。ここでは、生産工程を効率的に行うため、ざっくりと計画をつくってしまいます。

これによって、生産に必要な材料、機械装置、労働力を計算することができて、適切に割り当てるための計画ができあがります。

調整段階:計画実現のために調整する

続いて、調整段階では、生産工程のスケジューリングと調整を行います。

この段階では、生産ラインの稼働スケジュール、従業員のシフト計画、材料の供給タイミングなどを決定します。
また、生産ラインの各工程での作業の優先順位付けもこの段階で行われます。

実行段階:計画に基づき実行する

実行段階では、計画と調整に基づいて、実際の生産活動が開始されます。
ここでは、生産ラインをできる限り効率的に稼働させることを目指します。
品質管理、機械のメンテナンス、労働者の効率的な配置など、生産プロセスのすべての側面がこの段階で管理されます。

監視段階:チェックする

監視段階では、生産プロセスのパフォーマンスが定期的に評価されます。
これには、生産効率、品質、コスト、納期の遵守などが含まれます。

問題が発生した場合は、原因を特定し、修正措置を講じる必要があります。
また、継続的な改善のためのデータを収集し、分析することも、この段階の重要な部分です。

改善段階:改善する

監視段階で洗い出された問題の原因に対して、改善を行います。

これらの段階を通じて、製造業における工程管理は、製品の品質を保ちながら、コストと生産効率のバランスを取ることを目指しています。また、市場の変化や顧客の要望に迅速に対応できる柔軟性も重要とされます。

工程管理でまず初めにやってみること

工程管理を実現させるためには、基本的には、高価なパッケージソフトの導入や、自社の生産工程にあったシステムを構築することが多いですね。でも、今まで全く工程管理を行なっていない中小製造業者がいきなり、工程管理のIT化を実現せるのはリスクが高いし、やっぱり難しいと感じると思います。

そのため、まず初めに以下のことをやってみて、それからソフトの導入やシステム構築を目指してみてはいかがでしょうか?

はじめの1歩:現状の工程のリストアップと数値化:

現在の生産工程を作業ごとに分解し、それをリストアップしてみましょう。例えば、「CAD設計、切断、曲げ、バリ取り、溶接、塗装、搬送」などです。

もちろん社長の頭の中にはどの工程が存在しているかは理解していると思いますが、それぞリストアップし文章化して、各工程で何が行われているかを、明確にすることがけっこう大切だったりします。

リストアップできたら、週ごとや月ごとや製品ごとなどあなたの工場の現状にあった形で、数値化してみましょう。数値化する指標の例は、生産量、コスト、工数、不良品数、時間、などです。もちろん、全てを数値化する必要はありません。

みなさんの工場の生産工程にマッチした指標で構いません。

2歩目:ボトルネックの特定:

生産工程のリストアップと数値化をすることで、ボトルネックや非効率な部分が見えてくると思います。例えば、工程ごとの時間を見た場合、「バリ取り」工程に人員や時間が多く割かれているなどがわかるでしょう。

もちろん社長の頭の中では、おおよその評価はできていると思いますが、それを数値化し確認することが、ここでもやっぱり重要だったりします。数値で見ることで、程度がわかって、程度が分かれば、その課題を解消させるためにどれくらいお金をかける価値があるのか、お金との比較ができる点、これがとっても重要だったります。

3歩目:小規模な改善の立案:

特定された問題点に対して、小規模で実行可能な改善策を考えてみましょう。

例えば「バリ取り」工程がボトルネック工程である場合、人員を増やす、機材を見直す、バリ取りにできるだけ早く製品を回せるように工程を見直す、などが考えられます。

ここで重要なポイントは、いきなり対策をするのではなく、数値を見ながら、新たな対策をとることでどれくらいの数値が改善されるのかを試算してみることです。もちろん、厳密な計算は難しいので目分量となることもあるかもしれませんが、それでも構いません。「数字で考える」ということが重要です。

また、新たな機材については費用対効果もざっくりと概算してみましょう。これにより、高性能なサンダーがいいのか、自動バリ取り機がいいのか、製品のカタログスペックを見ながら、どれくらいのコストでどれくらいの数値が見込めるのか判断してみましょう。

4歩目:改善案の実施:

ここで始めて改善案の実施をします。もちろん、改善案の実施後も数値化は継続し、どれくらい改善されたのかチェックしましょう。
これにより、改善のための投資コストに対して、どれくらいの効果が出たのか数値で確認できます。

5歩目:工程管理ツールの導入の検討:

以上の工程管理を進めることで、みなさんの会社にあった工程管理の方法や方向性が掴めたと思います。
ここで始めて、工程管理ツールの検討が可能となります。パッケージソフトがいいのか、ゼロベースでシステムを開発した方がいいのか、なども、ツールの資料を比較することで検討できるでしょう。

特に、中小製造業者がシステム構築を行う場合、色々と難しい用語などが出てきて迷うこともあるでしょう。
こちらのコラムで、中小製造業者の工程管理システムの構築のためのポイントも解説しています。

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この記事を書いた人

㈱スクラムソフトウェアの製造業DX担当。エンジニアとしてから製造業のシステム開発をメインに幅広く業務に従事。C言語、C++言語を使った組み込み開発やPHPやJavascriptを使ったWEB周りの開発が得意。社内の事例を他のエンジニアからヒアリングし、社外向けにシステム開発と製造業DXや工場管理についての情報発信を実施中

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