製造業在庫管理その1:在庫管理、はじめの一歩

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製造業ではなぜ、在庫管理が必要?

最近、僕のご支援している企業では、大企業だけでなく、中小製造業者も資材、部品、仕掛品についてしっかりと在庫管理を行なっている企業がすごく増えてきました。中小製造業者も在庫管理が必要になっている背景としては次のような状況が挙げられるんじゃないでしょうか(個人的な見解です)。

中小製造業における市場競争の激化

半導体や自動車製造業など、競争が激しい市場や製造現場では、効率的に在庫管理をして、でっきるだけコスト削減や迅速な顧客対応をする必要がありますね。中小企業も元請企業からの圧力や要請に応えるために、在庫管理を目一杯頑張ってギリギリの管理を必要が求められています。

顧客ニーズの多様化

製品のエンドユーザーである顧客のニーズがどんどん多様化・複雑化(めんどうですが。。。)し、中小企業の現場ではより個別化された要求に応えなければならなくなってきていますね。こんな状況から中小製造業者はより、「少量多品種」の生産が求められ、その結果、効率的な在庫管理による、より柔軟な生産と迅速な製品提供をやらないといけなくなってきています。

技術の進歩

僕自身も開発者としていつも感じていることですが、クラウド技術やICタグなどのIT技術の進歩により、中小企業でも効率的な在庫管理システムを導入しやすくなりました。これにより、在庫管理の精度を高め、コストを削減することが可能になっています。

資金繰りの重要性

中小企業では資金繰りが特に重要ですよね。よく、お付き合いのある社長さんからお話しされるんですが、金融機関からは資金繰り表と一緒に、在庫管理の作成を要請されるケースも少なくないようです。

金融機関からは、適切に在庫管理を行うことで、手元キャッシュを増やし、流動資産の安全性を高めるような、経営努力を求められることがよくあるらしいです。

短納期化への対応とリードタイムの短縮

市場の変化に迅速に対応するため、また元請企業からの要請に対応するため、中小製造業者にとって短納期化を現場で実際にやってのけるのは、現実問題、むちゃくちゃむずかしいけれども非常に重要な課題だと思います。そのために、在庫をきっちりと適切に管理し、生産計画を柔軟に調整する必要があります。

このような背景から、中小製造業者は在庫管理を必要とする場合が多いように、個人的には感じています。それでは、続いて、まだ在庫管理を行なっていないあなたの工場で、どのように在庫管理を導入すればいいのか、順を追って解説したいと思います。

中小製造業における在庫管理導入はじめの一歩

はじめの一歩: 在庫管理の目的と目標を決定しよう

まず何のために在庫管理をするのかについて、在庫管理の目的を明確にしまてみましょう。
ここでの目的は、コスト削減、生産効率の向上、倉庫のスペースを確保する、倉庫の整理整頓進める・・・などです。

続いて、在庫管理を通じて達成させる目標を決定しましょう。例えば、毎月の売上に対する在庫量(在庫回転率)を3倍以上にする、在庫の破棄を売上の3%以下に抑える、倉庫の半分のスペースで在庫を管理する、などですね。

二歩目: 発注のやり方と担当者を決定しよう

続いて、 どのようなタイミングで再注文をするのか?どのくらいの在庫量を確保しておくか?といったルールを決めてみましょう。
例えば発注の方法は、毎回決まったサイクルで必要な量を発注する定期発注なのか、それとも必要な在庫量を下回った場合に都度、毎回決まった量を発注する定量発注なのか、です。

また、発注担当者も決定しましょう。発注担当者は先ほど決めたルールに必ず従い、発注を行うようにしてください。

三歩目: 在庫管理のタイミングと在庫担当者を決定しよう

在庫の入出庫があった際に、在庫リストを更新する必要があります。そのため、どのタイミングで、在庫リストを更新するのかルールを決めておきましょう。

また、誰がどのタイミングで在庫リストを更新するのか、担当者を決めます。担当者は、在庫更新のルールに従い、確実に在庫管理リストを管理しましょう。

四歩目: 在庫の棚卸しをしよう

現在、保有している在庫を確認し、リストアップしパソコンに記入する、棚卸し作業を行います。

もちろん、入力にあたっては、専用ソフトでなくとも、Excelなどの表計算ソフトで十分です。今後の在庫管理はこの作業で作ったリストを元に更新されるため、非常に重要な作業です。

五歩目: 手動で在庫を管理しよう

ここが実は一番重要です!在庫管理の担当者は、先述の解説で決めたタイミングで都度、定期的に在庫を確認し、リストを更新します。ここをやらなければ、せっかく、仕組みを導入しても、意味がありませんよね。ぜひぜひ、ここはしっかりと続けれるよに、みんなで協力しなが、やり遂げてください!

六歩目: 定期的な棚卸しと在庫管理ルールの見直しをしよう

きっちりと正確に在庫管理を行なっていれば、実際の在庫量とリストの在庫は理論的には一致するはずです。

しかし、、、現実にはそうはなかなかいきません。なので、生産活動を行っていくことで、実際の在庫量とリストの在庫量に齟齬が出ることも十分考えられます。ということで、定期的に実際の在庫量がどのくらいあるのか、最低でも年に1回は棚卸し作業をするようにしましょう。また、品切れや在庫過多などもリストから確認し、発注の方法も定期的に見直すようにしてください。

七歩目: 安くていいのでシンプルな在庫管理ツールを導入

以上の在庫管理を実際に行うことで、御社にとって必要な在庫管理の機能などは、分かってくるはずです!
これを元に、必要に応じて、市販の在庫管理ソフトウェアや御社の在庫管理要件にあった在庫管理システム構築を検討してみるといいでしょう。

まとめ

以上が製造業において、在庫管理を導入するための始めのステップでした。また、Excelで在庫管理の導入の方法の記事や在庫管理のシステム化についての記事もこちらに掲載しています。

よかったら、みてくださいね。

また、当社でも無料のIT相談もお受けし、開発のご依頼も全国にてお受けしております。お気軽に、ご相談ください。

この記事を書いた人

㈱スクラムソフトウェアの製造業DX担当。エンジニアとしてから製造業のシステム開発をメインに幅広く業務に従事。C言語、C++言語を使った組み込み開発やPHPやJavascriptを使ったWEB周りの開発が得意。社内の事例を他のエンジニアからヒアリングし、社外向けにシステム開発と製造業DXや工場管理についての情報発信を実施中

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