製造業在庫管理その2:在庫管理を、まずExcelで始めよう
前回では製造業における在庫管理の導入のための初歩的なステップについて解説しました。
今回は製造業における在庫管理をExcelで導入するための具体的な手順について解説したいと思います。
中小製造業者がExcelで在庫管理をするメリット
もし、あなたの工場で今まで、在庫管理をきちっと行なっていない場合、高価な在庫管理ソフトを導入せずに、まずはExcelで在庫管理をやってみるのも一つの手ですね。
「Excelで在庫管理をしてもいいの?」と不安に思われるかもしれませんが、Excelで在庫管理も実は可能です。また、中小製造業の場合、Excelによる在庫管理をするメリットも十分にあります。
以下は、中小製造業者がExcelで在庫管理を行う主なメリットです。
低コストでの導入できる:
Excelはマイクロソフトの製品であり、会社用のWindowsの入っているPCに初めからインストールされている場合も多く、
非常に馴染みのあるソフトと言えます。
そのため、特別な在庫管理ソフトウェアを導入するより、グッと安く導入が可能です。
使い慣れたツールの利用:
多くの人がExcelの基本操作に慣れているため、新たなソフトウェアよりも簡単に利用が可能です。
特に、データ入力や表の編集は、他のソフトに比べても格段に使いやすですね。
カスタマイズが可能:
在庫管理シートをあなたの会社や工場の実態に合わせて自由にカスタマイズができます。
このように、中小製造業者にとって、Excelで在庫管理をするメリットはたくさんあります。
それでは、実際いExcelで在庫管理をするためのシートを作っていきましょう。
実際に製造業向け在庫管理シートをExcelで作ってみよう
それでは、実際にExcelで在庫管理シートを作ってみましょう。
なお、在庫管理には、1ページ1製品で管理する方法と、1ページに複数製品を管理する方法がありますが、ここでは、多くの製造業者の在庫管理方法に当てはまる、1ページに複数製品を管理する方法に絞って解説したいと思います。
タイトルと表題を記入
シートのタイトルとしてセルA1「在庫管理シート」と記入し、その下に年月を記入します。
次に、セルA4に「資材番号」、セルB4に「資材名」、セル4に「先月繰越在庫」と入力します。ここで、資材番号と資材名についてはあなたの工場の在庫管理の項目に沿って記入していただいて構いません。例えば、今回の例では資材を番号と名称の2つのカテゴリで分けていますが、3つや4つのカテゴリで分ける場合はその分セルA4、B4、C4、D4・・・と横に記入していって構いません。
日付を記入
次に、セルE4に月の初めの日付(2024年1月のシートであれば、2024年1月1日)を記入します。
続いて、オートフィル機能を使い、セルE4の右下をクリックしたまま右に移動し、セルAI4でクリックを離し、日付をコピーします。
また、このままでは日付の形式が「yyyy/mm/dd」で長いので、適当な日付の形式に変更します。セルE4からAI4までを選択したまま、ホームタブの書式選択ボックス(日付と書かれてあるボックス)を選び、種類から「3月14日」を選択しています。
これにより、日付の形式は「m月d日」に変更されていますね。
在庫量を記入する箇所の表側を記入
一つの資材に対して、入庫、出庫、残高の3つのデータを管理するため、それぞれ、C5〜C7に記入します。
次に、在庫管理する資材の種類分、下にコピーします。種類がこの場でわからない場合は、できるだけ多めにコピーしておいて構いません。
在庫管理する資材と先月繰越在庫量を記入
A5から資材番号と資材名を在庫管理する資材分記入していきます。一つの資材で3行分使うので、3行飛ばしで記入するようにします。
次に、資材ごとに先月末時点の在庫量を「残高」の右に記入していきます。入庫と出庫についてはD列には記入しないため、「ー」(ハイフン)を記入します。
在庫残高を計算する式を入力
1月1日の残高に当たるE7に計算式を入力します。1月1日の在庫の残高は「先月繰越在庫」+1月1日の「入庫」ー1月1日の「出庫」で計算できるため、「セルD7+セルE5ーセルE6」の計算式を入力しましょう。
一度計算式を入力すれば、後は入力した計算式を他のセルにコピーすればOKです。
最後に書式を整える
ここらへんは好みになりますが、罫線や色をつけて、わかりやすいようにシートを装飾します。
以上で、在庫管理シートがひと月分完成しました!
次の月になれば当月のシートをコピーすれば、そのまま利用できます。
また、在庫管理する資材が先月と同じであれば、当月の先月繰越在庫は、先月末時点の残高セル(2024年1月であれば、31日時点の残高セル)の値に一致するので、手入力で先月繰越在庫量を入力せずとも、先月のシートの対象セルを参照することで、入力の手間が省けますね。
以上が、Excelによる製造業における在庫管理の方法になります。特に在庫管理する資材が100件未満で、資材の種類がほとんど変わらないような製造現場の場合には、Excelによる在庫管理でも十分機能するはずです。
まずはExcelでやってみて、その後、在庫管理ソフトへの移行も検討されてみると良いのではないでしょうか
また、Excelによる在庫管理後、システムも検討される場合も十分にあり得ると思います。そのようなケースにおいて、在庫管理のシステム化についても解説した記事をこちらに掲載しています。
よかったら、見てくださいね。
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