システム開発で使える補助金

皆さんこんにちは!㈱スクラムソフトウェアの製造業DX担当.Aです。今回は月2回の当社で実施している「製造業DX勉強会」で触れた「システム開発で使える補助金」についてお伝えしたいと思います。

目次

そもそも補助金って何?

最近しばしば「補助金」という言葉を耳にすると思いますが、そもそも補助金とは何なのでしょうか?

中小企業庁が運営する中小企業向けの経営支援を目的とするサイト「ミラサポPlus」では補助金についてこのように説明しています。

中小企業庁ミラサポPlusより抜粋」
補助金は、国や自治体の政策目標(目指す姿)に合わせて、さまざまな分野で募集されており、事業者の取り組みをサポートするために資金の一部を給付するというものです。それぞれの補助金の「目的・趣旨」を確認し、自分の事業とマッチする補助金を見つけましょう。

つまり、補助金とは国や自治体が事業者に対して行う、資金の一部給付のことですね。

そして、実は補助金は給付の内容や対象別に、とてもたくさん募集されています。中小企業の経営支援を目的とする公的機関、「独立行政法人 中小企業基盤整備機構」では国や自治体が募集している補助金を支援情報の検索サイトで公表しています。このサイトをみると、多くの省庁や自治体からさまざまな補助金が応募されていることがわかります。ぜひ、一度、どのような補助金が応募されているのか、このサイトで眺めて見てください。

そもそも、システム開発に使える補助金ってあるの?

システムが補助対象経費に該当すれば、使えます!

補助金と一口に行っても、補助金によって補助対象経費に指定されている物が異なります。補助金によっては、工場に設置する機械を対象としているもの、建物を対象としているもの、広告宣伝費を対象としているもの、人件費を対象としているもの、などです。

システム開発で使用できる補助金については、システム構築費が補助対象経費として定められているものでなければなりません。

ただし、補助金の募集期間には注意が必要

補助金には、毎年同一の補助金を年数回募集し募集しているものと、1回限りの単発で募集しているものがあります。毎年同一の補助金を年数回通年で募集している補助金については比較的、国の各省庁が募集している補助金が多くまた予算規模や採択数も多いです。一方で1回限りの単発で募集している補助金については比較的、地方自治体が募集している補助金が多く予算規模や採択数も少ないことが多いです。

中小企業が補助金を目指す場合、まずは採択数の多い通年で募集している補助金に狙いを定めつつ、応募時期に自社のある自治体が募集している補助金があればその補助金も検討してみる、というプランがいいのではないでしょうか。

システム開発で使える、通年応募の国の補助金4選!!

システム開発が補助対象経費となっており、かつ、毎年通年で募集されている国の補助金は次の4つになります。

  • 事業再構築補助金
  • ものづくり補助金
  • IT導入補助金
  • 小規模事業者持続化補助金

それぞれ、概要を見ていきましょう。

事業再構築補助金

補助金概要

  • 補助金額(成長枠の場合):
    • 従業員数 20人以下 2,000万円
    • 従業員数 21~50人 4,000万円
    • 従業員数 51~100人 5,000万円
    • 従業員数 101人以上 7,000万円
  • 補助率(成長枠の場合):中小企業者1/2、中堅企業社1/3(枠により異なる)
  • 採択件数応募者数10,821件、採択数5,205件、採択率48.1%(第10回採択結果)
  • 募集回数:年間4回程度
  • 補助対象経費:システム構築・機械設備費、建築費等

通常枠以外にも他の枠あり

事業再構築補助金のポイント

事業再構築補助金は原則として、新規事業のための補助金となります。また、今回紹介する補助金の中では、最も補助金額の大きい補助金です。システム構築費用以外にも建築費や機械設備購入費も計上できます。補助金を申請するにあたって必要な書類は、決算書、確定申告書類、に加え、15ページが上限の事業計画書(申請する補助金額が1000万円未満の場合10ページ)を提出する必要があります。

この事業計画書は決められたフォーマットがなく、その中で事業概要、市場規模、市場動向、計数計画等を記載し説得力のある計画を立てなければなりません。そのため、採択可能な申請書を作成するためのハードルはなかなか高いと言えます。もちろん自社内で事業計画を作成し合格している企業もたくさんありますが、専門業社と連携し事業計画を作成する企業も多くいる補助金です。

採択され得る申請書を作成するためには、申請まで最低でも1ヶ月前から準備する必要があるでしょう。また、一度不採択となった場合も、不採択理由を電話で聞くことが可能で、再チャレンジも可能です。

システム構築費用を計上する上でのポイント

この補助金は原則として、新規事業のための補助金となります。そのため、既存事業の効率化を図るためのシステム構築費には利用できません。既存事業の効率化を図る用途においては、後述のものづくり補助金が利用可能です。

ものづくり補助金

補助金概要

  • 補助金額(通常枠の場合):
    • 従業員数 5 人以下 :100万円~750万円
    • 従業員数6人~20人:100万円~1,000万円
    • 従業員数21人以上 :100万円~1,250万円
  • 補助率:小規模企業者・小規模事業者、再生事業者2/3、それ以外1/2、
  • 採択件数:応募者数5,694件、採択数2,861件、採択率50.2%(第15回採択結果)
  • 募集回数:年間4回程度
  • 補助対象経費:システム構築・機械設備費等

注意:通常枠以外にも他の枠あり

ものづくり補助金のポイント

ものづくり補助金は、事業再構築補助金とは異なり、新規事業でも既存事業でも事業計画書で明記した事業で利用可能です。ただし、補助金で購入した機材を事業計画で明記した事業以外では利用できません。このことを目的外使用といい、明確に禁止されています。例えば、新商品の減塩明太子を開発するために調理器具を購入した場合、その調理器具は既存商品の明太子の製造には使用できません。

また、事業再構築補助金と同じく、ものづくり補助金も外部の専門家と協力し作成することが多い補助金です。また、事業再構築補助金とものづくり補助金を同時に申請し、受かった方で事業を進めるということも可能です。いずれか、補助金の条件の良い方を選択すればいいでしょう。

採択され得る申請書を作成するためには、申請まで最低でも1ヶ月前から準備する必要があるでしょう。

システム構築費用を計上する上でのポイント

ものづくり補助金では、事業の目的として次の2つに限定されています。

  • 新たな商品・サービスを展開するための目的
  • 業務プロセスを効率化させ生産性を上げるための目的

申請時に必要な書類の中の事業計画書(10ページ上限)では、システム構築費を計上するにあたっては、どちらの目的に合致した設備投資なのかを明確にし、その目的に合致しているということを、できるだけ具体的に数値を持って論理的に説明する必要があります。特に、業務プロセスを効率化させ生産性を上げるための目的でシステム導入を行う場合、合格する計画書を作るには「既存事業に対してシステム導入後は〇〇時間時間が短縮し、〇〇%の生産性が向上した」など、数値を持って説明することを心がける必要があります。

IT導入補助金

補助金概要

  • 補助金額上限:
    • 通常枠A型:150万円未満
    • 通常枠B型:450万円以下
  • 補助率:通常枠A型、B型1/2、
  • 採択件数(通常枠A型+B型):応募者数2,960件、採択数2,023件、採択率68.3%(2023年9次結果)
  • 募集回数:年間9回程度
  • 補助対象経費:ソフトウェア費(クラウド・パッケージ)等

注意:新たに構築するシステムは経費対象外

IT導入補助金のポイント

この補助金と、他の補助金と異なる大きな点は、購入できる機材は自由に業者から選べるのではなく事前に審査を受け登録されているものの中からしか選べないという点です。

対象となるITツール(ソフトウェア、サービス等)は事前に事務局の審査を受け、補助金HPに公開(登録)されているものとなります。(IT導入補助金2023後期事務局ページより)

また、登録されているIT製品は規制のパッケージ製品やクラウドサービス製品となり、自社の希望に沿ったシステムをゼロから構築するシステム開発費用は認められていません。

2023年現在、IT導入補助金で登録されているITツールはこちらから検索可能です(2023年後期版後期事務局ページより)。

一方、今回紹介した他の補助金に比べ採択率は高いです(2023年9次通常枠では採択率68.3%)。登録されている製品群の中に自社の課題解決に資する製品がある場合は、有効に活用できる補助金と言えます。

システム構築費用を計上する上でのポイント

先述の通り、補助対象経費として認められる製品は事前に登録されている製品に限ります。そのため、まずは先述の検索画面から、事業の目的に合致するITツールを探し出すことが重要です。

自社の課題解決に効果のありそうなツールが見つかれば、業者に問い合わせ、資料の申し込みや説明を受けてみましょう。場合によっては、デモなども実施できる場合もあります。

また、業者によってはIT導入補助金の申請支援も受けることが可能な場合が多いため、その業者はどれくらいの申請支援が可能なのかも問い合わせてみましょう。

IT導入補助金は業者と協力しつつ申請することが重要となってきます。ツールの良し悪しだけでなく、補助事業を遂行する上で協力いただけるパートナーかどうかについても十分に検討し、進めることが重要だと考えます。

小規模事業者持続化補助金

補助金概要

  • 補助金額上限(通常枠):50万円
  • 補助率:2/3、
  • 採択件数:応募者数13,373件、採択数7,438件、採択率55.6%(第12回公募)
  • 募集回数:年間4回程度
  • 補助対象経費:広告宣伝費、WEBサイト関連費等
  • 注意:WEBサイト構築費は補助金額の1/4までが上限

持続化補助金のポイント

この補助金は小規模事業者に特化した補助金で、対象事業者も小規模事業者でなければなりません。小規模事業者の定義は以下となります。

小規模事業者の定義
 製造業・建設業・運輸業等・・・従業員数20人以下
 その他・・・従業員数5人以下
「出典:中小企業庁ホームページより編集」

また、従業員数は「常時使用する従業員の数」であり、特殊な場合を除き、「社会保健に加入している従業員の数」で考えて問題ないでしょう。

また、今回紹介している補助金の中では補助金額の上限が低く、また、システム構築費がそのうち1/4までしか使えない点も重要です。例えば50万円の補助対象経費の場合、12.5万円までしか使えません。

システム構築費用を計上する上でのポイント

この補助金については、システム導入にあたっては補助金額の1/4までしか認められないという点は重要になります。そのため、「システムを導入するためだけの事業」ではこの補助金は使えない点を考慮する必要があります。この補助金は補助事業における、チラシやパンフレットといった広告宣伝費や、機械・ツール類の購入も可能です。このようなことから、「自社が今後も発展するための、システム導入を含めた包括的な事業」という位置付けで、システム以外に必要な経費を計画し提出することが重要となります。

また、この事業については地域事務局が商工会や商工会議所となっており、それら支援機関と連携し事業を進めることが求められています。そのような支援機関と連携しながら、補助金の計画から採択された後の事業実施段階に渡って、協力しながら進めることが重要であると言えます。

になみに商工会や商工会議所に入会していなくとも申請は可能です。

その他の補助金について

今回紹介した補助金は採択枠も大きく、通年で募集をかけているため利用しやすい補助金と言えます。しかし、紹介した補助金以外にも単発の補助金や採択枠の少ない補助金や地方自治体が発表している補助金なども存在し、その中にはシステム導入が可能なものもたくさんあります。毎年新しく交付されるものも多く、なかなか情報をキャッチアップすることは難しいかもしれませんが、もし、システム導入が必要となった場合は、「独立行政法人 中小企業基盤整備機構」の支援情報の検索サイトで調べてみるといいでしょう。

また、当社でも無料のIT相談もお受けし、開発のご依頼も全国にてお受けしております。お気軽に、ご相談ください。

この記事を書いた人

㈱スクラムソフトウェアの製造業DX担当。エンジニアとしてから製造業のシステム開発をメインに幅広く業務に従事。C言語、C++言語を使った組み込み開発やPHPやJavascriptを使ったWEB周りの開発が得意。社内の事例を他のエンジニアからヒアリングし、社外向けにシステム開発と製造業DXや工場管理についての情報発信を実施中

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