組込み開発と工程

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㈱スクラムソフトウェアで組込み開発のエンジニアをやっているうりうです。今回は、私の経験から、組込み開発企業の開発工程についてお話いたしと思います。

組込み開発において、限られた予算とスケジュールの中でプロジェクトを成功させるためには、効率的な工程管理は不可欠です。本稿では、組込み開発の重要性と効果的な工程管理について解説します。

目次

組込み開発の発注

組込み開発は、一般的なWEBシステムやアプリケーション開発企業に比べて、なじみがなく、また専門で行っている企業も少ないのが現状です。

そのため、組込み開発を依頼しようにも、どれくらいの予算で、どこの会社に依頼していいのか、わからないのが現状だと思います。

過去に、「組込み開発の相場」についてや、「組込み開発企業の探し方」ついてまとめてあるので、こちらも参照してください。

その企業の組込み開発における実績、技術力、担当者との相性を見極めながら、場合によっては相見積もりも取り、企業を選定しましょう。

組込み開発の発注後

十分に信頼できる組込み開発企業に開発を依頼した場合、まずは、以下の点を再度お伝えするようにしましょう。

組込みシステムの目的を整理する

組込み開発を用いて、何を実現させたいのか、改めて明記しましょう。なぜなら、目的に合致せずに闇雲にシステムを導入したところで、ビジネス上の成果が上がらないケースが多々あるためです。

例えば、「生産管理の手間を少なくし、生産コストを削減させたい」という本来の目的があるからこそ、その目的に合った適切な「生産管理システム」の導入を検討しなければいけません。単に「よく流通しているから」とか「取引先が使っているから」という理由で生産管理システムを導入しても、自社の生産工程の効率化に合わなければ、本来の目的である「生産コストの削減」にはつながらないためです。

組込みシステムの機能と要件を整理する

あなたの会社が必要としている組込み開発システムの機能や要件を整理する必要があります。具体的には次のような点を決定しましょう。

  • 必要な機能
  • 必要な応答速度
  • 仕様するデバイス
  • スケジュール
  • 運用計画

組込み開発の工程

上記の目的や機能・要件を伝えた後、組込み開発企業は開発フェーズに入ります。試作品開発が必要な組込み開発を依頼する場合、開発工程はおおむね以下の通りです。

  • 要件定義:あなたが提示した組込みシステムの目的・機能・要件をくみこみ開発事業者がシステム面から再定義し文書化するフェーズ。
  • PoCの実施:「Proof of Concept」の略。日本語では「概念実証」とも言われます。あなたが提示した組込みシステムの目的・機能・要件から、その組込み開発案件が本当に技術的に実現可能かを検証・調査する作業。また、開発側が十分にその技術に精通している場合、実施しない場合もあります。
  • 試作設計・開発・テスト:上のPoCによい実現可能であると判断した場合に、プロトタイプとなる試作品を試作開発するフェーズ。
  • 試作品の納品・検収:開発した試作品が、要件定義通りの機能、性能を満たしているのか、あなた(ユーザー)が検収します。
  • 試作品のテスト運用:クライアント企業に試作品を納品し、試作品をテスト運用することで、運用可能かどうかを現場の視点から判断します。不都合が発生した場合は再度、「試作設計・開発・テスト」フェーズに戻ります。
  • 量産化へ:試作品が十分な機能を満たしていると判断した場合、次の量産化フェーズに移ります。量産化に入る場合は再度、事業者と量産化に向けた契約、設計、開発、テスト、保守運用を行います。

組込み開発を依頼した後も、クライアント(あなたの会社)はプロジェクトでやるべきことが終わったわけではありません。組込み開発プロジェクトは、一般的なシステム開発のプロジェクトに比べ、作られる過程が目に見えることも少なく、クライアントにとって進捗状況がなかなかわかりにくいのが現状です。

だからこそ、クライアントは組込み開発プロジェクトにおいて、依頼先と定期的にコミュニケーションをとり、進捗管理を積極的に行うことが重要な要素となります。例えば、「2週間に1回は必ず対面の進捗会議を開催する」や「毎週金曜日に進捗状況をメールで報告する」など開発プロジェクトの進捗状況を定期的に確認する会を設定することが重要です。

プロジェクトの進捗状況のわかるツールの導入も良いでしょう。代表的な例では、BacklogやTeamsがあります。このようなツールは開発事業者とクライアントが双方にスケジュールを確認でき、利便性の高いツールです。

また、組込み開発プロジェクトの進捗報告については、報告書のフォーマットをあらかじめ決めておくことや報告会の進め方をあらかじめ定式化する、など決めておくことで会議や報告書作成に極力時間を割かずに、必要な情報のやり取りを組込み開発事業者ととることができます。

また、進捗会議では、要件や変更事項の共有は必ず文書化するようにしましょう。現在発生している問題やリスクについても依頼先に丸投げするのではなく、クライアントも十分に把握しておくようにしましょう。

工程の重要性と進行管理


組み込み開発における工程管理は、プロジェクトのスケジュールや予算を遵守し、品質を確保するために不可欠です。
工程管理には、タスクの洗い出し、優先順位付け、リソースの割り当て、進捗の追跡などが含まれます。
進行管理によって、プロジェクトの進捗状況を把握し、必要な調整を行うことができます。

<工程の遅れと仕上がり具合、リーダーの資質、問題をちゃんと認識すること、具体例>

工程の柔軟性と適応性

組み込み開発の工程は、プロジェクトの特性や要件に合わせて柔軟に調整することが求められます。
また、組み込み開発には、ハードウェアとソフトウェアの統合や周辺機器との連携など、さまざまな要素が絡み合います。
工程の柔軟性と適応性を持つことで、変更要求やリスクに対応し、プロジェクトの成功に向けて最適な方法を見つけることができます。

<最重要段落>遅れが生じている。遅れていることがわからないことがよくある。

チームの協力とコミュニケーション

組み込み開発では、複数の技術者や関係者が協力してプロジェクトを進めることが一般的です。
チーム全体が協力し、円滑なコミュニケーションを図ることは、工程管理の成功に欠かせません。
プロジェクトの目標や進捗状況を共有し、問題や課題に対して迅速かつ効果的な対応を行うことが重要です。

組み込み開発依頼における工程管理のポイント

組み込み開発を外部に依頼する場合、工程管理を重視したパートナー選びが重要です。
パートナー企業が適切な工程管理手法を持ち、確立された品質管理システムを有しているかどうかを確認することが必要です。
また、工程の進捗状況や品質に対する定期的な報告やレビューを行い、問題やリスクの早期発見と対応を図ることも大切です。

以上、組み込み開発の重要性や工程管理の重要性、柔軟性、チームの協力、そして組み込み開発依頼における工程管理のポイントについて述べました。

ちなみに、当社では組込み開発を始め、様々なシステム開発の相談、設計、実装を全国対応で行なっています。無料相談も実施していますので、お気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

㈱スクラムソフトウェアの組込み開発エンジニア。開発チームの若手リーダーとして、開発案件の遂行と社内での技術導入の推進を行っています。

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