DXとデバイス組み込み開発

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㈱スクラムソフトウェアで組込み開発のエンジニアをやっているうりうです。組み込み開発とは、デバイスやシステムにソフトウェアを組み込んで機能を実現する技術です。
最近では、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展により、組み込み開発がますます重要視されています。
この記事では、DXとデバイス組み込み開発の関係について解説します。

目次

組み込み開発とDXの関係

組み込み開発は、デバイス機器にソフトウェアを埋め込むことで、必要とする機能を実現するためのプロセスとなります。
例えば、自動車のエンジン制御、家電製品の制御システム、センサーデータの見える化など、組込みソフトウェアは日常生活で使用する電子機器のほとんどに組み込まれています。

DXで再注目される組込み開発技術

このように、あらゆる電子機器に活用されている組込み開発技術ですが、最近はやりのDX(デジタルトランスフォーメーション)では、組込み開発の重要性について再確認されています。

日本国内でDXという言葉を使う多くの場合、その言葉の意味はおおむね、経済産業省で発表されているDXの定義に近い意味で使われるようです(参照:経済産業省「デジタルガバナンス・コード2.0」)

DXの定義は次のとおりとする。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データ
とデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデ
ルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競
争上の優位性を確立すること。」

経済産業省2020年11⽉9⽇策定
「デジタルガバナンス・コード2.0」

要するに「企業がデータとデジタル技術を用いて顧客ニーズに対応することで、さらに、その先に新たな価値が生まれる・・・」と、そんなところですね。

そして、上の定義にもある「データとデジタル技術」という点で、今までデジタルデータが収集できなかった場面でデジタルデータを収集し、そのデータを活用する場面で特に組込み開発技術が応用されることが多く、そのためDXの分野で今、組込み開発技術が再注目されていることが挙げられます。

組込み開発とDXの例1:IoT機器の開発

DXにおける組込み開発技術の応用例として、故障予測を例に挙げてみましょう。

金属を切ったり曲げたり加工するような、工場にある機械加工設備は一定期間稼働することで、故障リスクは時間を追うごとに上がっていきます。このような場合、ベテランの工場作業員であれば、機械が動いているときの稼働音から、例えばちょっとした「キーン」という甲高い音が鳴るなど、ちょっとした稼働音の違いで「そろそろ故障するな」というように、機械の故障を予測することができるそうです。

ただし、すべての作業員が普段の稼働音と故障する間近の稼働音の違いを判別し、故障の予測ができるわけではありません。このような場合に、組込み開発技術を活用し音を収集できるセンサーを組み込んだIoT機器を工場に設置することで、機器に組み込まれたセンサーが、リアルタイムで対象機械の音を収集し、一定程度の音量(閾値)や音色(周波数)を超えれば「故障リスクが一定程度を超えた」と判断しアラートを出す、といった技術も、組込みソフトウェアにより実現することが可能です。

この例では、それまでデータ化されていなかった、「工場で使われている機械の音」を組込み開発技術を活用したデバイスにより、データ化しています。これにより、工場の故障リスクを低減するだけでなく、「作業員の安全性の向上・製品品質の向上・納期の短縮」といった新しい価値が生まれており、まさにDXと言えますね。

組込み開発とDXの例2:農業分野での活用

続いて、農業分野のDXにおける組込み開発技術の応用例を見ていきましょう。

農作物の温度・水・湿度・栄養素・照度の管理などは、多くの場合、農家の方々の経験とカンで行っていました。そのような複雑な管理を、現在では、農業DXによりAIと組込み開発が連携して自動で行うといった流れができています。

例えば、ハウスの中に、組込み開発技術を用いて温度を測定するためのセンサーを組み込んだIoT機器を設置し、リアルタイムで温度を測定し、AIにより収集した温度データを分析することで、農作物に最適な温度管理を実施されています。

この例では、それまでデータ化されていなかった、「ハウスの中の温度」を組込み開発技術を活用したデバイスにより、データ化しています。これにより、ハウスの中の農作物の温度管理を自動で行うことで農家の作業量を減らすという作業効率化の側面に加え、「農作物の品質の向上、生産量の向上」といった新しい価値が生まれており、まさにこれはまさに農業DXと言えますね。

組込み開発とDXの例3:高齢者の見守りサービス

続いて、介護福祉分野でのDXにおける組込み開発技術の応用例を見ていきましょう。

高齢者の見守りを、組込み開発技術とAIとIoT技術を活用した機器を設置することで、自動化するというDXの動きも進められています。例えば、組込み開発技術を用い加速度センサーを組み込んだカメラを高齢者の自宅に設置することで、高齢者の見守りを自動で行うことが考えられています。また、組込み開発技術により、高齢者の体温・心拍数などを測定できるセンサーをスマートデバイスを身に着けることで、異常があればナースセンターに情報が届くといったDXの仕組みも考えられています。

ただし、この点については、プライバシー保護の関係から、導入についてはハードルが高いようです。このようにDX場面における組込み開発技術は、これまでデータ化されていなかった情報もリアルタイムでデータ化し見える化することができる非常に強力な技術である一方、プライバシーに抵触する可能性もあるという側面も忘れてはなりません。

まとめ:組み込み開発とDXの相互関係

このように、DXにおいて組込み開発は非常に強力な技術と言えます。組み込み開発によってデバイスやシステムは機能を付加することが可能となり、組込み開発技術によりデータの見える化や自動制御といったDXの基盤となる技術を生み出しています。
一方で、DXによって組み込み開発を活用する範囲が拡大し、新たな価値を創造することが可能になっています。
このようなDXと組込み開発技術の相互関係は、新しいAI・IoT技術やネットワークの普及により、さらに一層深まっていっていると言えます。

ちなみに、当社では組込み開発を始め、様々なシステム開発の相談、設計、実装を全国対応で行なっています。無料相談も実施していますので、お気軽にご相談ください。


この記事を書いた人

㈱スクラムソフトウェアの組込み開発エンジニア。開発チームの若手リーダーとして、開発案件の遂行と社内での技術導入の推進を行っています。

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