組込み開発の相場について知っておくべきこと

㈱スクラムソフトウェアで組込み開発のエンジニアをやっているうりうです。組込み開発における依頼の際、相場を把握しておくことは重要です。相場を把握することで、適切な予算を設定し、開発プロジェクトを成功させることができます。以下では、組込み開発の相場や価格について詳しく説明します。

目次

組込み開発の特徴と相場や価格の関係

組込み開発(エンベデッド開発)は、家電、産業機器、宇宙開発、自動車など様々な分野で利用されます。また、開発には非常に高度な技術と専門知識が必要となります。そのため、組み込み開発をソフトウェア開発企業に発注した際の相場や価格は、他のソフトウェア開発と比べてやや高めになる傾向があります。
組込み開発プロジェクトの規模や要件によって相場は異なりますが、一般的にはおおむね、①開発期間、②必要とされる技術的な難易度、の2点に基づいて開発コストや価格が決まる傾向があります。

組込み開発の相場の要素

上の段落でも述べた通り、組込み開発の相場や受注する際の価格は、大きく2つの要素によって決定されます。それぞれの要素についてみていきましょう。

組込み開発の相場の決定要因1:開発期間

1つ目は、組込み開発に要する期間です。プロジェクトの規模や複雑さによって期間は変動しますが、開発に要する期間が長いほど、価格も高くなる傾向があります。まずは、現在考えている組込み開発プロジェクトの開発期間はどれくらいなのかを試算することが重要です。例として、一般的な組込み開発プロジェクトで、エンジニア1名が担当した場合に要する期間の目安を挙げてみますね。

組込み開発における開発期間例
  • IoT照明システム・・・スマホから照明を制御するIoT照明システムの開発
    目安となる開発期間:3~6か月/エンジニア1名
  • 温度×湿度センサーによるスマート農業システム・・・ハウス内の温度と湿度をセンサーによりモニタリングし、クラウドへデータを送信するシステム
    目安となる開発期間:4~8か月/エンジニア1名
  • スマートドアロックシステム・・・スマホでドアの施錠・開錠を制御するシステム
    目安となる開発期間:3~6か月/エンジニア1名
  • ウェアラブル健康スマートデバイスの開発・・・心拍数、血圧、体温などの身体データをモニタリングするスマートデバイスの開発
    目安となる開発期間:4~8か月/エンジニア1名~
  • 自動水やりシステム・・・土の水分量や降水量から必要な水分量を計算し、自動で水を供給するためのシステム
    目安となる開発期間:4~9か月/エンジニア1名

これらについては、あくまで組込みソフトウェアの開発期間の目安であり、ハードウェア(電子機器・デバイス)の開発については想定していません。

組込み開発の相場の決定要因2:開発難易度

2つ目は開発難易度です。組込み開発に必要な技術やノウハウも価格に影響を与えます。高度な技術や専門知識が必要な場合は、相場や受注金額が上昇することがあります。こちらも例として、どのような技術が必要な場合、難易度が上がるのか目安を挙げてみます

組込み開発における開発難易度例
  • 開発難易度、【並】・・・光センサーデータ、温度センサーデータ、湿度センサーデータなどのセンサーから単純にデータを取得するシステム
  • 開発難易度、【難】・・・上記のセンサーデータ取得に加えて、目的のアルゴリズムを実装するシステムなど
  • 開発難易度、【超難】・・・上記のシステムに加え、OSを独自プラットホームへのポーティング、OSのカスタマイズ、デバイスドライバの開発

組込み開発の受注企業の会社規模による相場の違い

これから開始しようと考える組込み開発プロジェクトについて、企業に発注した際の相場や発注金額については、おおむね上記の開発期間と開発難易度で決定されると思います。

ただし、発注する会社規模によっても、組込み開発プロジェクトの発注金額は異なる傾向があります。少し古いデータですが、システム開発企業の会社規模別のシステムエンジニアの平均単価アンケートというものが発表されています(出典:日経コンピュータ2014年10月16日号「3069人調査で迫る 情報システムのリアル」

このデータから、わかりやすいように会社規模別に平均単価のボリュームゾーンを抜粋してみましょう。

2014年時点の”一般的な”システム開発におけるSEの平均月単価
SEの平均月単価(2014年時点)
  • 従業員数~29人・・・最頻値40~100万円
  • 従業員数~999人・・・最頻値60~120万円
  • 従業員数~4999人・・・最頻値80~200万円

上記データをもとに、組込み開発における受注企業の相場を、おおざっぱですが考えてみましょう。考え方としては、まず、1つ目に、組込み開発に特化したソフトウェア会社は一般的なソフトウェア会社に比べ、会社数が少なく、従業員数も少ないこと。2つ目に組込み開発の相場(SE一人当たりの平均単価)は一般的なシステム開発の相場に比べ、高くなること。3つ目に上記データの調査時期2014年に比べ、現在の人件費は高騰している、また人件費の高騰は大企業ほど影響が高く、小規模企業ほど影響は小さい。この3点を踏まえることで、おおざっぱですが、次のような目安で考えることができると思います。

現在の”組込み”開発の相場の目安
現在の”組込み”開発の相場の目安
  • フリーランス/個人事業主・・・50万~80万円/月程度
  • 中小企業・・・70~130万円/月程度
  • 大企業・・・120~200万円/月程度

こちらはあくまで、上記データに基づいた目安です。また、地域によっても異なり、大都市企業ほど単価は高く、地方企業ほど単価は低い傾向があります。

まとめ

ここまで述べてきた、組込み開発プロジェクトの相場と平均単価は一般的な目安であり、実際のプロジェクトによって異なることをご了承ください。もちろん、プロジェクトの詳細や要件に基づいて、具体的な見積もりを取得することが最も確実な方法です。専門家や開発会社に相談し、プロジェクトの要件と予算に応じた正確な相場を把握することをおすすめします。

当社でも組込み開発における無料のWEB相談、電話相談をお受けしております。お気軽にご相談ください。

ちなみに、当社では組込み開発を始め、様々なシステム開発の相談、設計、実装を全国対応で行なっています。無料相談も実施していますので、お気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

㈱スクラムソフトウェアの組込み開発エンジニア。開発チームの若手リーダーとして、開発案件の遂行と社内での技術導入の推進を行っています。

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