組込み開発とユーザー視点
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私は長年、組込み開発に従事してきたベテランエンジニア.Tと言います。組込み開発を中心に、ソフトウェアエンジニアはどうあるべきか、など、日頃考えている事や感じた事をとめどなく書いてみようと思います。
テレビに見る組込み開発のユーザー視点
液晶テレビが普及し始めた頃、たまたまですが、それまで使っていたブラウン管テレビが壊れました。まだ6年ほどしか使っていないテレビでしたが、思い切って最新の液晶テレビに買い替えました。
フルハイビジョン映像は、それまでのNTSC映像とは比べ物にならないほど綺麗です。ただ、フルハイビジョンに適用した規格(MPEG-2)とその設定パラメータの制限ですが、夕日とかの見事なグラデーションでの色の変化に不連続線が見えるのが残念です(いわゆるマッハバンドと言うのでしょうか)。
とりあえず当時のフルハイビジョン放送の限界と思って諦めました。
テレビの不具合
電気店で選んでいる時は周りが煩いので気付きませんでしたが、我が家に設置して暫くすると「おや?」と思い始めました。
私はクラシック音楽が好きで、一流オーケストラのコンサートが放送されると良く見ていました。静寂の中で一流演奏家の奏でる音に聞き入ろうとする時に、やたらと風切り音が聞こえてくるのです。雰囲気が台無しです。
それで、音の発生源を探したら、液晶テレビの背面に排気のための小型ファンが一生懸命回転しており、そのファンが発生源でした。
メーカーの品質基準と組込みエンジニアの認識
早速メーカーのサービスエンジニアに状況を見てもらいました。「同様のクレームは他にないのか?」という私の質問にエンジニアは「ありません」と答えつつも、ファンの異音は認めてくれました。
後日のメーカーの対応は動作確認済の静音対策ファンとの交換でした。交換前に比べて我慢できる程度に静かになったこともあり、この問題には一区切りを付けました。
この液晶テレビのメーカーは誰でも知っています。しかし、AV機器なのに異音を発生させるファンを使用してそのまま販売するというメーカーの品質基準や開発エンジニアの認識の低さにびっくりです。
今までのコラムで既に言いましたが、重ねて言います。もっとユーザーの視点でモノつくりをしましょう。
メーカーの不具合対応を考える
随分後の後日談です。
実はこの液晶テレビは購入して5年ちょっと前に故障しました。5年間有効の保証書でしたので修理依頼をすると、ファンの対応をしたサービスエンジニアが再度訪問してくれました。
この時の修理対応ですが、修理とは名ばかりで、同じ画面サイズ(と言っても同サイズが無かったので若干サイズアップしましたが)の最新機種との交換でした。PCのように実装基板の交換と思っていたのですが、この対応にびっくりしたことを覚えています。
組込み関連の設計ミス
別の機会でしたが、同メーカーのDVDレコーダーで、購入後数年してCDの再生不良に気付き、やはりメーカーに動作確認をしてもらいました。
不具合の原因は制御LSIの設計ミスでした。中核の制御LSIなので修理は不可能との回答でしたが、この時も同等品の最新機種と交換してくれました。
このメーカーの対応を見ると、いろいろと注文を付けていますが、やはり日本の一流メーカーかな、とも思えます。
(違う見方をすれば、故障個所を探して個別の修理をするよりも、いっそ新品と交換した方がトータルコストは安く、しかもユーザーも喜ぶはず、とメーカーはしたたかに考えているのかもしれません。)
ちなみに、当社では組込み開発を始め、様々なシステム開発の相談、設計、実装を全国対応で行なっています。無料相談も実施していますので、お気軽にご相談ください。