組込み開発プロジェクトが炎上し、どつぼにハマる要因

私は長年、組込み開発に従事してきたベテランエンジニア.Tと言います。組込み開発を中心に、ソフトウェアエンジニアはどうあるべきか、など、日頃考えている事や感じた事をとめどなく書いてみようと思います。

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炎上した担当した組込みプロジェクトの話

あるプロジェクトで組込みシステム開発がほぼ終了し、これからシステムテストを開始するタイミングで、当該プロジェクトのマネージャーから相談を受けました。

「今から始めるシステムテストは別のものに担当してもらう。その代わりに面倒をみて欲しいプロジェクトがある。立て直してもらえないか?」という内容でした。お世話になっているマネージャーのお願いです。嫌な予感はしましたが、しぶしぶ引き受けました。なお、「面倒をみて欲しいプロジェクト」をここでは「どつぼプロジェクト」と呼びましょう。

無線中継装置の組込み開発プロジェクト

さて、どつぼプロジェクトですが、ある無線中継装置の組込み開発プロジェクトでした。製品としてのリリース時期も既に決まっていましたが、装置を動かすための組込みファームウェア開発が遅れに遅れていたのです。

私が最初にどつぼプロジェクトの全体打ち合わせに参加して、メンバーの状況を一通り聞いた時は、その酷さと炎上さビックリしました。しかし、プロジェクトリーダー(もちろん依頼元のれっきとした組込みエンジニアです)は、「リリースに間に合わせるにはとにかく頑張るしかない」と精神論を振りかざすばかりで、目の前の炎上している問題にどう対処するか、という具体策を全く提示できませんでした。

組込みサブシステムの洗い出しと外部インターフェイスの再検討を提案

このままでは埒が明かないと判断したので、一週間完全に作業を止めて、各自が担当する組込みサブシステムの機能の洗い出しと外部インターフェイスの再検討を提案しました。しかし、案の定プロジェクトリーダーがそれでは間に合わないと強情を張り、打ち合わせは膠着状態に陥ってしまったのです。

この状況を打開するために、私に依頼したマネージャーに急遽打ち合わせに参加をお願いし、裁断を仰ぐことにしました。そして、マネージャーの一言で、私の提案通り、今後の開発方針として

  1. 一旦作業を中断
  2. 一週間で各自が担当する組込みサブシステムをドキュメント化
  3. その後、組込みサブシステムの機能と外部インターフェイスの擦り合わせを行い仕様を確定
  4. 最初のリリースで最低限必要な機能の選択と決定
  5. その後および最終製品に搭載する機能と開発スケジュールの決定
  6. 仕様確定後に開発作業を再開

を決定しました。(リーダーの顔を完全に潰してしまいました。申し訳なかったです。)

プロジェクトマネージャーの了解を取り付ける

マネージャーとしても苦渋の決断ですが、仕方のないことです。マネージャーは、その後、製品開発本部との調整に奔走してくれました。開発現場の我々は、再検討した内容に従って、改めて開発をスタートさせたのです。提案したこともあり、私も製品のリリースまでプロジェクトの面倒を継続して行いました。(その後も結構タイトなプロジェクトでした)

苦労はありましたが、プロジェクトメンバー、関係部署の協力を得ることで、炎上したどつぼプロジェクトを何とか立て直すことができました。

組込み開発プロジェクトがどつぼプロジェクトになる要因

組込み開発プロジェクトが、今回のように炎上したどつぼプロジェクトのようにトラブルに見舞われる原因にはいろいろあると思います。今回のケースのように、リーダーが不適格者の場合も多いかもしれません。その場合、組込み開発プロジェクトメンバーはリーダーに勇気をもって意見し、早期の段階で軌道修正を図る必要があります。場合によっては、より上位のマネージャーに判断を仰がざるを得ないかもしれません。

何れにしても、このままではヤバい、炎上するかも、と思った段階で、プロジェクトメンバー間でコミュニケーションを取り、早期に対処することが重要ではないでしょうか。

ちなみに、当社では組込み開発を始め、様々なシステム開発の相談、設計、実装を全国対応で行なっています。無料相談も実施していますので、お気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

株式会社スクラムソフトウェアで、長年の組込み開発エンジニアとしての経験から、実際の開発業務と若手エンジニアの技術指導を行っています。

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