ドツボ組込み開発プロジェクトで学んだ人間関係の大切さ

私は長年、組込み開発に従事してきたベテランエンジニア.Tと言います。組込み開発を中心に、ソフトウェアエンジニアはどうあるべきか、など、日頃考えている事や感じた事をとめどなく書いてみようと思います。

目次

新人組込みエンジニアだった頃のOJTでのお話

入社した年の7月から10月の4か月間だけOJT(On the Job Training) で配属されたプロジェクトで、プログラミングからテストまで経験させて貰いました。今から思うとそのプロジェクトから色んな勉強をさせて貰ったと思います。

まず最初に思うのは、このようなプロジェクト運営はするべきではない、ということです。

新入社員の下っ端組込みエンジニアが、短期間経験しただけですので、プロジェクト全体は見えていないため、なぜそのようなどつぼプロジェクトになったのかは理解できていません。ただ、下っ端組込みエンジニアの我々が、忙しさのピーク時には家にも帰れず、数日間コンピュータールームに泊まり込んで、開発作業を行いました。

新人組込みエンジニアだった私の残業代は雀の涙

同プロジェクトの先輩から聞いたところ、OJT期間の人件費は全て人事部が負担する、ということだったらしく、プロジェクトに課金されていませんでした。これ幸いにと我々をこき使ったようです。(もちろん先輩方も同じような状況でしたが)また、勉強期間中ということで、我々に支払われた残業代は雀の涙ほどでした。

今から思うと、これはブラック企業のやり方そのものです。しかし、何も知らない我々は、こんなもんなのかな、と疑問に思いつつやり過ごしてしまいました。

同期の組込みエンジニアは東北一周旅行に行く中・・・

なお、私自身は、正式配属されて11月に大阪支社に転勤が決まっていたため、その時にプロジェクトから離れました。

10月の末に転勤手続きのために東京と大阪を行き来している最中に、同期のプロジェクトメンバーである組込みエンジニアは、一週間の特別休暇を与えられて、皆で東北一周旅行に行きました。同じ状況で仕事をしたのに、私は参加できずしかも休みもありませんでした。この時の悔しさは今でも思い出します。

組込み開発で重要なドキュメントを勉強する

一方で、先輩から渡された組込み開発の設計仕様書やその他の仕様書を見て、実際の組込み開発の現場で作成するドキュメントを勉強させて貰いました。

設計書やその他のドキュメントの書き方は、日々改善されています。今は文書ツールやお絵描きツールを組み合わせた電子データでのドキュメントがほとんどですが、当時はまだ手書きでした。

しかし、どのように書けばドキュメントが見やすいのか、それらのドキュメントをどうメンバーに説明すると理解して貰えるのか、等を教えて貰いました。
これも貴重な経験でした。

組込み開発で一番大切なのは人間関係

そして、これが最も大切なことかもしれませんが、後に続く人と人との信頼関係が築けたことです。

普通に大きな会社で働くだけでは、新入社員の下っ端が事業部長と話す機会は少ないでしょう。しかし、どつぼプロジェクトでしたが、それなりの開発規模がありましたので、事業部長も現場に顔を出してプロジェクトメンバーと気さくに話して気を使っていました。他の課長やマネージャーとも顔見知りになり、皆さんとは会社を辞めるまでお付き合いをさせて頂きました。

最悪のプロジェクトの嫌な体験だけだと『こんな会社、もう辞めてやる』となっていたかもしれません。しかし、肉体的にはきつい思いをしましたが、不思議と嫌な思い出はありません。だからその後も辞めたい、とは思わなかったのでしょう。

人と人との出会いは素晴らしいものです。皆さんも人との出会いを大切にしましょう。

組込み開発は、どつぼプロジェクトから学ぶことも多い

悲惨な組込み開発プロジェクトでしたが、見方を変えれば色んなことを勉強させてくれる反面教師的な良いプロジェクトだったのかもしれません。

なお、数年後にも同じように数日間家に帰れないどつぼプロジェクトを経験しましたが、その際はサービス残業もなく、ちゃんと残業代を払ってくれたことを申し添えます。(そこはやはり大企業です)

ちなみに、当社では組込み開発を始め、様々なシステム開発の相談、設計、実装を全国対応で行なっています。無料相談も実施していますので、お気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

株式会社スクラムソフトウェアで、長年の組込み開発エンジニアとしての経験から、実際の開発業務と若手エンジニアの技術指導を行っています。

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