組込み開発エンジニアの技術習得の姿勢
組込み開発エンジニアが新しい技術を取り入れる時に考えて欲しいこと
私は長年、組込み開発に従事してきたベテランエンジニア.Tと言います。組込み開発を中心に、ソフトウェアエンジニアはどうあるべきか、など、日頃考えている事や感じた事をとめどなく書いてみようと思います。
ドイツ車のデザイン
前回に続き、車の話をあと一つ!
あるドイツ車のデザインを担当されたデザイナーがインタビューで面白いことをお話しされていましたので、紹介します。
かなり依然に聞いた話ですので、記憶違いがあるかもしれません。
日本の自動車メーカーで車のデザインを行っていたデザイナーA氏が、縁あってドイツの自動車メーカーに転職したそうです。
転職後A氏は、次期モデルのデザインを任されます。A氏は日本車メーカーでのデザイン手法を踏襲して、今までのデザインとは異なる新しいデザインをマネージャーに提案します。そのデザインを見たマネージャーは難色を示したそうです。その理由は極めてシンプルで、「君のデザインはわが社のデザインではない」というものです。マネージャーは、我々には一貫したデザインコンセプトがあり、その制約下で新しいデザインを追求している、君のデザインは、そのコンセプトから逸脱している、と言います。
日本とドイツの車デザインの違い
A氏はこの指摘に衝撃を受けます。日本車メーカーでは、とにかく目新しいデザインを求められてきました。それ故、従来のものとは異なるデザインを常に考えるのがデザイナーの仕事と思い込んでいたのです。これに対し、ドイツ車メーカーは、根底に在るコンセプトを堅持しつつ、そこから次のデザインを考えて、将来の発展を考えるのです。
その後A氏がデザインしたその車は、如何にもそのドイツ車メーカーのデザインですが、それでいて流麗で洗練されたデザインであり、世界的な評価を得ていたと記憶しています。そして、今でもその系統は脈々と受け継がれています。
一貫性の重要性
この話を聞いて、日本車とドイツ車を改めて見比べてみました。(既に述べたように私は車の門外漢ですので、ここでは見た目だけです。)
日本車は、何処かのメーカーが目新しいデザインを発表すると、いつの間にかその他のメーカーも似たような車を提供し、暫くするとメーカーの特徴がなくなっています。おじさんが今どきのアイドルの見分けが付かないのと一緒です。
一方、ドイツ車のデザインには一貫性があり、新しくても古くてもメーカーは直ぐに区別できます。また、そのようなドイツ車を評価している方も多いのではないでしょうか?A氏の話から、なるほど、と思いました。
組込みソフトウェアと技術の一貫性の大切さ
組込みソフトウェア開発に目を向けた時、私たちはどう考えたら良いのでしょうか?
プラットホームにしろ、開発環境にしろ、言語にしろ、日々新しい技術が生まれています。組込みソフトウェアエンジニアとしては、常にそれらを勉強し、日々の業務に取り込む必要があります。場合によっては自分で新しいモノを創り出すことも要求されます。
この時、やみくもに新しい技術に飛び付くのではなく、自分が持っている組込み開発技術や今まで培ってきた技術は何なのかを落ち着いて再考し、新しい技術に取り組む事も必要ではないでしょうか?
といいつつ、自分を振り返ると、面白そうな技術やテーマが見つかるとよく摘まみ食いしてしまいます。そして、暫くすると、摘まみ食いした技術を実際の開発に適用する場面に遭遇することもあります。摘まみ食いも侮れませんね。
ちなみに、当社では組込み開発を始め、様々なシステム開発の相談、設計、実装を全国対応で行なっています。無料相談も実施していますので、お気軽にご相談ください。